

| |
|
自然環境の保全に情熱を傾けている民間団体や個人の方々と接する機会がちょくちょくあって、河川環境に的を絞った話題もしばしば口頭にのぼる。 たとえば人間と自然が共生しているような地域での河川環境。その保全を考える上で欠かせない条件とは。 当然のことながら、まずは水質の悪化を防止することが先決、と誰もが熱心に語る。いくら周囲の景観を整えたところで、主役である河川の汚れが目立つようではあまり意味がないからだ。 そうはいうものの、さて、どうしたらそれを実現できるか、といった点に焦点が絞られてくると、「残念ながら民間団体や個人の力の及ぶところにあらず」という話になって、結局は語らいの腰が砕けてしまう。 人間が生活すれば、嫌でも廃水が生じる。これを垂れ流せば、というよりも、垂れ流さざるを得ない場合が多く、当然のことながら川には汚れが累積し、かつて清流だった河川も、いつしかどぶ川と化してしまう。問題ではあるけれど、それが人間と自然とが共生している地域の常であって、いわば必要悪。とても認める気にはなれないが、現実問題としては、そうみなさざるを得ないからだ。 だが、その解決は決して不可能ではない、という事例が東京の身近にある。ほかでもなく、多摩川源流の小菅川である。 東京都の水道水源、そして下流にある小河内ダムの水質保全を目的として、都の助成を受けた小菅川流域の下水道普及率は今や100%。小菅村内にある下水処理施設では、砂のろ過塔を通 す三次処理まで行われ、さらには、その排水口の川底には、四次処理ともいうべき木炭が川幅いっぱいに敷き詰められている。東京都と山梨県小菅村の二人三脚によって実現した抜本的な水質改善策である。 この結果、清流苑と名付けられた下水処理場のすぐ下流でも、清流を好むヤマメやイワナの泳ぐ姿が他と変わりなく見られる。地域社会と各行政機関が一丸となっての取り組めば清流は維持できる。人間と自然が共生する地域のすべてに、小菅川のように行政の逞しい腕が伸びてくれれば。 小菅川が、美しい川復活のための先例であってほしいと、つくづく思う。 |
| index | back |
next |